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「ミスMか。綺麗な人だね。廊下ですれちがう度に、どうしても振り返って見てしまうもんな。‥‥そう言えば一度、彼女が貧血で目まい起こして廊下の隅にしゃがみ込んでいるのに出くわしたことがあったよ。俺が大丈夫ですかって近寄って行くと、すいません、起こして下さいって言うもんだから、俺、手を貸して立たせてやったんだ。
その時‥‥ おかしなものだけど、その時目に入ったのは彼女のしている腕時計だった。俺、通信士やってるから分かるんだけど、あれは小型の無線機だったな。
細い腕に不釣合いだったんだ、大きくて。あれ、うちの情報部じゃ見かけないけど、新型なのかな。それとも試作機だったのかな。だとしたらどうして通信区の俺達に真っ先に試用させてくれないのかな」
俺は考え込んでしまっていた。