114
無線室。各情報部支局からの連絡が騒々しく飛びかっている部屋だろうと思っていたが、意外に静かなのに驚いた。
そこには二人の通信士がいた。一人は度の強そうな眼鏡をかけて、小さなヘッドホンを耳にし、壁際に据えられたデスクの上のディスプレイモニターに次々と表示されてくる暗号乱数表をにらみつけていた。デスクの上にはそのモニターの他、様々なスイッチ類やメーター類が並んでいる無線機器が天井近くまで積まれている。
もう一人の男は差し迫った仕事がないのか、椅子にふんぞりかえるようにして煙草を吹かしている。
俺はその暇そうにしている男に尋ねてみることにした。