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男は自分の体格に似合わず、敏捷性に富んでいた。俺の握っていた拳銃はあっと思う前にはもう男に蹴られて部屋の隅を転がっていた。
男が次とった行動は俺の首に両手をまわして締め上げることだった。俺の体は徐々に床から持ち上げられてゆく。懸命に俺は男の厚い胸に何度も何度も拳を叩き付けた。
「グフフフ‥‥」
男にはそれがむずかゆいだけらしい。俺の額に血管が浮いているのが自分でも分かった。息が苦しい。男の力は俺の首の骨を折るのにもさほど困難なことではないだろう。
遠くなってゆく意識の中、俺は渾身の力を足の爪先に集め、それを男の股間に埋め込ますほどの勢いで蹴った。
男はうなった。俺の首にまわしていた力が弱まる。俺はそれを振り解き、床に逃れた。俺も男もほぼ同時に尻餅をついていた。