92
俺はシャンパンの入ったグラスには口をつけず、ミスMをにらみながらテーブルに置いた。
「所長、冗談がきついな。睡眠薬入りのシャンパンなど私の好みじゃないんですよね」
俺がそう言うと、所長はにやっと笑った。
「悪かった。卒業試験の予備テストに合格した訓練生には、本試験の前に十分な食事か、十分な睡眠のどちらかを与えることになっているんだ。君は食事のほうを選んだわけだ。さあ、思う存分食ってくれ。新しいシャンパンを開けよう」
俺は一週間ぶりの食事に舌鼓を打った。
食事の後には、R氏が試験について説明してくれた。