俺は某国の秘密諜報員養成所の訓練生だ。つまり、スパイの卵ということになる。様々な訓練を経て、ついに養成所の卒業試験を受けるまでにこぎつけた。


 この卒業試験で今までの訓練成果を試され、合格すれば晴れてスパイとなれる。つまり、優れた格闘技術、洞察力、判断力、観察力、行動力、根気、それにくわえて強運の持ち主だけが第一線で活躍するスパイになれるというわけだ。


 俺は今、養成所宿舎の自分のプライベートルームの中にいる。一週間前から食事を禁じられ、三日前からは睡眠まで禁じられている。まずは、これが卒業試験の予備テストだった。監視カメラににらまれる中、俺はなんとか正常な精神状態を保つことが出来た。


 壁のスピーカから、俺の予備テスト合格を告げる所長の声が流れた。

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